解決実績

  • CASE.01

    2021.03.15

    会ったことのない相続人との遺産分割協議

    ■ご相談内容

    同居の夫が亡くなりました。私には子供はいませんが、夫には以前別れた前妻との間に子がいると聞いたことがあります。私はその子とは会ったこともなく、名前も行方も知りません。もしその子がいるとすれば相続人になるため、遺産を相続するにはその子の承諾も必要と聞きました。

    ■解決ポイント

    亡くなった被相続人(夫)の戸籍を出生まで遡って調査することにより、相続人の有無およびその所在を確認することができます。遺産を相続するためには、判明した相続人と連絡をとり、遺産分割協議を行う必要があります。そして、遺産分割協議がまとまったら、その内容を遺産分割協議書に記載し、署名と実印の押印、印鑑証明書を提出してもらう必要があります。

    ■対応結果

    戸籍を収集して調査した結果、前妻との間に子がいること、およびその所在も確認できました。そこで、依頼者と話し合ったうえで、相続が発生した事実と被相続人の生前の様子や依頼者の近況などをお伝えする手紙を作成し、被相続人の遺産の相続についてどのようにしたいかの希望を返信いただきたい旨の案内を遺産目録と共に添えて郵送しました。その後、子から連絡がありました。やはり突然の手紙にとても驚かれた様子でしたが、当職としては中立公正な立場から今後の遺産分割協議の手続きについてご説明したところ、状況はご理解いただけました。最終的に遺産相続の意思を確認したところ、相続財産はすべて依頼者に相続してもらうことにしたいとのことでした。そこで、その内容の遺産分割協議書を作成して署名と実印の押印をいただき印鑑証明書も提出してもらいました。これにより無事に依頼者が遺産を相続する手続きをすることになりました。

  • CASE.02

    2021.03.15

    未成年者の相続放棄と熟慮期間

    ■ご相談内容

    別居している父が亡くなりました。子である私は未成年者ですが、父には債務があることがわかったため相続放棄をしたいです。母は父と離婚しており私と同居していましたが、病気で入院していて面会もできない状態が続いており、どうしたらよいのか分からないまま3か月が過ぎてしまいました。

    ■解決ポイント

    未成年の子が相続放棄をするには、親権者が子の法定代理人として手続きをします。手続きは家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出することで行います。また、相続人が未成年者の場合に相続放棄をできる期間(熟慮期間)は、その法定代理人が未成年者のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。

    ■対応結果

    本事案の場合、戸籍を確認したところ子の親権者は母となっていましたので、母が子についての相続放棄の手続きを家庭裁判所にすることになります。また、被相続人である父が亡くなってから3か月は経過していたとしても、母は入院中で父死亡の事実および相続の開始があったことを知ることができない状況にありましたので、相続放棄の手続きができる期間(熟慮期間)は終わっていないと考えることができます。

    ちょうど子が相談に来られたころに、母の病状も回復が見られ面会が可能となったため、子から母に状況を伝えてもらいました。母も子に相続放棄させることを希望し、手続きに必要な書類(家庭裁判所に提出する相続放棄申述書)の作成の依頼を受けました。書類の作成で注意すべき点は、被相続人が亡くなってから3か月が経過しているため、相続放棄が認められるためには、3か月以内に相続放棄ができなかったことについて特別の事情があることを家庭裁判所に説明する必要があるということです。そこで、これまでの被相続人との交流関係や母が相続の開始があったことを知り得なかった事情を詳細に記載した事情説明書を当事務所にて作成し、相続放棄申述書と一緒に家庭裁判所に提出てもらったところ、無事に受理されました。

  • CASE.03

    2021.03.15

    遺言と異なる内容の遺産分割

    ■ご相談内容

    先日、父が亡くなりました。母はすでに他界しており、私と弟が相続人です。相続財産は、預金と不動産(宅地と山林)です。父は遺言書を作成しており、預金と宅地を私に、残った山林を弟に相続させる旨の内容となっていました。弟と話し合った結果、弟は山林の管理処分をするのは手に負えないということで、私が山林も相続し、代わりに弟は預金の一部を相続することにしたいということで話がまとまりました。このように遺言と異なる内容の遺産分割を行うことはできるのでしょうか。

    ■解決ポイント

    遺言の存在とその内容を認識したうえで相続人全員が合意をすれば、遺言と異なる内容の遺産分割協議を行うことは可能です。

    ■対応結果

    上記のように「相続させる」旨の遺言がなされた場合には、当該遺言において相続による承継を当該相続人の受諾の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、被相続人の死亡の時に直ちに当該不動産は当該相続人に相続により承継されるものと解釈されます。しかし、被相続人が遺言でこれと異なる遺産分割を禁じている等の事情があれば格別、そうでなければ、被相続人による拘束を全相続人にまで及ぼす必要はなく、むしろ全相続人の意思が一致するなら、遺産を承継する当事者たる相続人間の意思を尊重することが妥当であると考えられます。

    本事案においても、相続人の意思が一致していたため、その内容を反映させた遺産分割協議書を作成しました。

    なお、遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができない(民法第1013条)ため、遺言と異なる内容の遺産分割協議を行うには遺言執行者の同意も得ておくべきと考えられます。